-
027-371-5544受付時間:8:00~17:00(平日)
剪断加工について学んでいきたいと思います。 .
社長からレクチャーいただいたことを投稿いたします。
剪断加工とは、簡単に言ってしまうと「材料を切る」ということ。
簡単すぎる加工でありながら、実はとっても奥深い加工なのだそうです。
【剪断加工には】
切断・打ち抜き(穴あけ・ブランク)・縁切(トリミング)・切込み(ルーバリング)・
シェービングと呼ばれるものがあります。順番に各加工について説明していきます。
主に平面状の素材から直線に切ることを指します。
シャーリングと呼ばれる機械により、定尺材から所定の幅の材料を得る時に用いられます。
この場合、スクラップは発生しません。(ただし、余り材は出ることはあります)
また、このシャーリングと言うとおり、刃先に「シャー角」と呼ばれる切断角がついており
はさみで切るように一方より徐々に切り進むため切断する力が少なくすみます。
金型内での切断では、切断長さにもよりますが、シャー角を付けないでカットすることもあります。
平面状の素材から、丸、角の任意の閉じられた形状を打ち抜く加工の事を言います。
打ち抜かれたものが製品の場合は ⇒ 「ブランク」
打ち抜かれた外側が製品の場合は ⇒ 「穴あけ(ピアス)」
と、呼ばれます。
プレス加工の「剪断」とは、この打ち抜き(穴あけ)の事を主に指しています。
少し特殊で3辺をコの字に剪断し、1辺をパンチ角度に曲げる加工になります。
この業界では、切り起しや切り曲げなどと呼ばれています。
良く目につく場所にあるのが、換気しなければならない場所に雨除けの様に加工を
施してあるルーバー等もこの様な加工方法になります。
剪断加工した面の精度の向上を目的で一度打ち抜かれた製品を少しだけそぎ落とす
ように削り取る加工方法です。後述しますが、打ち抜かれた面は平面とは垂直に
ならないので、この工程により垂直に近づくようにする加工方法です。
このように「剪断加工」は切断する事なのですが、金属を切るとなると、色々な
条件が必要になります。
紙の様な薄い素材を切るならば、はさみの様に上刃と下刃の隙間(クリアランス)を
「0」にして切れば切る事は可能です。
しかし、金属の場合、使用用途によりますが一般的に使用される厚さがあります。
鉄板であれば、0.3ミリ位から12、20ミリと厚い材料もあります。
そのような厚い材料をクリアランス「0」で切る事は一般的ではありません。
では、どのようにするかと言えば、そのクリアランスというものを素材、板厚に
応じて設定するのです。 そうする事によって刃が食い込み始めて、凡そ1/3ほど
までに剪断が進むとその先は【破断】と言ってクラックが成長し鉄板が切れるのです。
例えば、
6ミリの板厚の板を剪断しようとすると(ここでは説明上、簡易にします)0.6ミリの
クリアランスを設定します。
なので、上の刃が当たる所と下の刃が当たる所で、0.6ミリの差ができてしまうにです。
ここでパンチとダイの関係で言い換えますと、製品の「欲しい寸法」が穴径20ミリだと
すると片方の寸法(パンチ)は20ミリ、もう片方の寸法(ダイ)は21.2ミリとなります。
逆に外形20ミリの部品の場合、片方の寸法(パンチ)は18.4ミリ、もう片方の寸法
(ダイ)は20ミリという設計になります。
ですから、厳密に言うと切った面は板厚に垂直にはならず、0.6ミリ斜めになるという事
です。 この斜めの面が製品の使用用途に不具合になる場合、前述したシェービングと
言う工程を施すことにより、垂直にすることができます。
(精密打ち抜きとかありますが)切断するのみの加工ですが、このようなメカニズムが
働いているのです。
このような条件を加味した上で金型(切断型・ブランク型・ピアス型)の設計をして
行きます。