プレス・金型コラム 新米女将 鉄子の部屋
2024.10.23

熱処理

熱処理について

前述いたしました「鋼材の種類 前回の続き②」にて少し触れましたが、製作後、熱処理を
施さないと金型としての機能を果たしません。(鉄子びっくり!)
と、言うことで、
今回は熱処理について、社長にレクチャーいただきましたのでそのことについて投稿したいと
思います。
そんなひとくちに「熱処理」と言っても、焼き入れ・焼き戻し・焼きなましなどを総称したもの
なのだそうです。焼き入れから参りますです。

焼き入れとは

・焼き入れとは、鋼材の温度を上げて、急冷させて鋼材の硬さを硬くさせることです。
 鋼種により、水、油などに入れて急冷させます。これにより、鉄で鉄を切ったり
 曲げたりできるような硬度になるのだそうです。という事は、焼き入れを施すと
 刃物による加工は非常に難しくなるという事を意味しますから、焼き入れ前に
 切削加工は済ませておかないとなりません。もし、それを怠った場合、
 最悪、その部品は「焼きなまし」(詳細は後述いたします)を施してから作り直し
 になるのだそうです。
 また、前述のとおり、焼き入れをすると硬くなるのですが、それだけですと硬くなり
 脆くなってしまうというのです。(衝撃に弱い)
 なので、セットで必ず行う熱処理方法があります。それが「焼き戻し」と言います。

焼き戻しとは

・焼き戻しとは、焼き入れで硬くなってしまった材料を、硬さを減少させて粘りを増加
 させる目的で行う熱処理のことです。
 靭性を重視する場合は、比較的高温で焼き戻しすることで粘り強くなり、
 硬さを重視する場合は、比較的低温で焼き戻しする「低温焼き戻し」を施すと硬さを
 損ないにくい。
また、焼入れを行うと、焼入れによって加工品の材料内部に応力(ゆがみたい力)
 が、発生するそうなのです。この応力は焼入れ後にも残り、変形・割れの発生、機械的
 性質の悪化を生じさせます。このような応力を「残留応力」と呼ぶそうなのですが、
 この「残留応力」を焼戻し処理によって「除去」あるいは「軽減」させることができる
 そうです。材料の大きさや加熱時間にもよるようなのですが、焼き戻しで残留応力は
 ほぼ半減できるそうなので「焼き戻し」の大切さがわかりますね。

焼きなまし(焼鈍:しょうどん)とは

・焼きなまし(焼鈍:しょうどん)とは、適当な温度に加熱し、その温度を保持した後、
 徐冷をする熱処理のことです。
 簡単に言うと、焼入れ前の状態(加工ができる柔らかい状態)にすることです。

 簡単に申しましたが、実は、とても奥が深く、材質や使用方法などにより、まだまだ多く
 の熱処理の方法があるそうで、当社では今申し上げたような「シビアな熱処理」に関しては
 熱処理協力業者様にお願いしております。
(特急案件などの場合は社内にて熱処理を施すこともあります。)

この様に多種ある素材の選定をして、加工・熱処理を経て加工に使用できる金型を製作して行きます。

*鉄子の編集後記*
ひと言で熱処理と言っても、様々な方法があり、材質によってだったり、使用用途によっても、
熱処理方法を変えたりすることを知る機会となりました。以前にInstagramで社内での焼き入れの
動画を投稿したことがあったのですが、非常に多い再生回数といいねをいただいた経験があります。
しかも海外の方からのいいね!に社長とも驚いた投稿でした。

今回も最後までお読みいただき有難うございます。次回の投稿もお楽しみに~

 

PROFILE

新米女将 鉄子
新米女将 鉄子
どうも川浦鉄子と申します。あたくしは、型屋には無縁なお仕事をしてまいりましたが、ご縁があり型屋に嫁ぎ金属に触れる日々を過ごしております。新しい発見ばかりで毎日楽しく過ごしながらプレス金型などについてご紹介してまいります
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